12005年4月3日
まず最初に話しがあったのはメールででした。
基本的にありえない話しだし、
件名が「はじめまして」だったので思わず「スパム???」と勘違いしそうになってしまいましたが、
内容を読むと信用してもよさげな感じだったので、半信半疑ながら返信。
とりあえず4月3日に助監督の人と会う事に。
その際「炎をモチーフにした(2mくらいの)作品を描いてほしい。
それと若い松の木の(1mくらいの)作品も。」と言われる。
俺に頼んでくるんだから人物描いてくれって言われるのかなと思ってたら炎。。。
モチーフとして炎を意識した事は全然なかったけど、
確かにいつも赤い絵を描いてるし、「面白いかも」なんて思う。
ただ松の木に関しては「う~ん。。。」って感じ。
が、「絵画制作の人が増えれば増えるほど画風がバラバラになるので」と言われ結局引き受ける。
それより何より困ったのが
「クランクインが4月終わりからなので、出来ればそれまでに完成させてほしい」と言われた事。
オイオイ今4月の頭っすよ。無理だって。
いつもと同じ状況で描いてたら3ヶ月か4ヶ月はかかるって。
とは言え断る気サラサラないし、どうしたモンかと頭を悩ませる。
結局時間を作るためバイト先をやめる事に。
いや、バイト先のCNETJapanのみなさんあの時は迷惑かけました(苦笑)。ゴメンナサイ。
22005年4月10日
おもなスタッフの人達と顔合わせ。作品の具体的な内容についても話し合う。
締め切りの件
「撮影日に間に合えば問題ないんだけど、まだ決まってないから決定したら連絡します」との事。
どっちみち可能であれば4月中に終わらせられるのがベストって事っすね。。。。
終わんのかしら、と激烈に不安がよぎる。
モチーフについて
炎以外に月と目玉も入れてほしいとの事。
ちなみに背景は夜空を指定される。月は全然問題ないけど目玉って。。。
「浮くからヤダ。でも結果的に目玉と分からないくらいのモノになっても構わないのであれば問題ないです」と返答。
監督「それでOKです」との事。
また、月の大きさについては今までの作品の背景箇所に出てくる円のように大きく画面に入れてほしいと要望される。
作品のサイズ、支持体について
炎をモチーフにした方が192cm x 130cm。
松の木の方が90cm x 60cmに決まる。
また、その時描いてた作品を監督が見て
「面白いと思うので炎の方も杉板に描いてもらおうかな。。。。」と言われる。
紙の上に描くよりやりやすいので「杉板の方がよいです」と返答。
杉板に直接描く事に。
32005年4月13日
作品のサイズ等決定し、ようやく描き始められる。
とにかく時間がないので急いで描く。ひたすら描く。
いつもと違い、1人で全部内容を決められる絵でもないので
逐一途中段階の画像を助監督にメールしてたんだけど、
画像を見て「作品をアップで写す際に上下が多少切れると思うので余裕を持たせてもらってよいですか?」と指示を受ける。
42005年4月17日
指示にしたがい上下に余裕をもたせた状態。
助監督からも「これで問題ないです。頑張って描き進めてください」との事。
あいかわらず焦りまくりで寝る間も惜しんで描き続ける。
52005年4月22日
目玉らしき模様を入れる位置は相談して決めてたけど
「どの段階でいれよう」なんて事を考えながら描き進める。
また、書くの忘れてましたが要望の1つとして
「月の輪郭線は下の方まで分かるようにしてほしい。なんとなくで問題ないので。」
と言われてたので多少反映させる。
助監督から「松の木の方の撮影日が5月頭になりました。炎の方は多分5月下旬になりそうです。」と連絡が。
とりあえずこの作品は一時中断して松の木の方に取りかかる。
62005年4月22日
松の木を完成させた後、助監督から連絡が。
「他にも描いてほしいのが2つほど出てきたんですが。。。」との事。
松ぼっくりの水彩画と山門のデッサンを描いて欲しいそうだ。
寝不足でヘロヘロな状態ながら、自分の中では「なんとかなりそう」と
感じ始めていた時期だった為「大丈夫っすよ。」と引き受ける。
で、松ぼっくりの方を完成させた後こっちの作品を再開。
目玉らしきモノをいれてみる。
またこの頃に炎の作品の撮影日が「5月22日と23日になりそう」との連絡がはいる。
途中段階の作品(描くシーンを撮影する時に使用する為)を
東映撮影所のスタジオを借りて3日間で描く約束をしていた為、
それも考えるとリミットはあと2週間程度。。。
72005年5月7日
「ある程度完成のめどがたってきたかも。でもなんかまだヘン。直さなきゃ。」なんて考えながら描いてました。
82005年5月9日
相変わらず物足りなさを感じつつも手つかずだった山門の作品にとりかかる為一次中断。
92005年5月16日
山門の作品を完成させた後、再開。 前回の制作過程同様、猛烈に物足りなさを感じつつ進める。 画像を見るとそんなでもないんですが、 実物は近くによると色が汚くそのヘンが特に物足りなかったのです。
リミットはあと3日。アセルアセルアセルアセル。。。。
102005年5月19日
「色が汚い」と感じていたので押さえたら逆に大人しくなり詰まらなく感じる。
とりあえずこの日からこの作品の途中段階の絵を描く為に東映撮影所に向かう。
内心「途中段階のは2日で終わらせて3日目はこっち描くんだ」と強く思う。
112005年5月22日
予定通り途中段階の絵を2日で終わらせ3日目はこっちの絵を制作。
徹夜で完成にこぎつけ「なんとか間に合った~」と脱力。
正直描いてる最中(ピークは5月頭あたり)は
「身がもたねぇ。。。早く切り抜けたい。。。」なんて感じる事もあったりしたのですが、
終わったら終わったで寂しさも感じたりしました。
人って身勝手な生き物ですねぇ。って俺が、か。
描いてる最中はまるで考える余裕もなかったですが、本当いい経験させてもらいました。
この話しがなかったら、きっと映画関係者と知り合いになれる事もなかっただろうし、
人物にこだわって制作してた俺がこの作品を描く事もなかったと思うし。
「人と相談しながら進めていく作品も悪くないな」なんて感じる事が出来ました。